こんばんは。



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猟銃やクレー射撃における実弾射撃のほか、騒音などから耳を守るイヤーマフの回です。
サバゲで装備着込んでる方はマイク付きのモデルをヘッドセットの名前でおなじみですね、特小無線とかにつないでオーバー!とか送れ!とかやるやつ。無線使わんからよく知らんけど。



普通、イヤーマフというといわゆる防寒具の"耳あて"を連想しますよね。耳覆いだとかイヤマフとかいくつか表記ゆれのあるもので、earmuffの単語は防寒・防音どちらの耳あての意味も含みます。
今回は騒音からの被害、聴覚保護(Hearing Protection)が目的の方ですから、ふわふわもこもこで柔らかくあったかい冬季の防寒具のイヤマフとは大きく異なり、ヘッドフォンのようにしっかりとしたイヤーパッドと側圧の強いヘッドバンドでしっかりと耳の周りに密着して防音性を確保している点が特徴です。



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ちょっと脱線。
聴覚保護の歴史はやはり産業革命後に生まれる動力源たちが誕生してからのようで、資料[1],[2]によると1864年に耳栓が発明(特許を取得)され、船員や兵士の聴覚保護に使われました。WW2の航空機では革のフラップで保護していたようですが、ジェットエンジンの搭載に伴い騒音が大きくなったためイヤーマフが開発されます。ただし側圧が強すぎて装着感が悪く頭痛の原因にもなっていたようです。
その後、1954年に液体の入ったイヤーパッド(ジェルパッド?)が開発され、現在のようなイヤマフが完成したようです。

フォーム素材で潰してから耳に装着するタイプの耳栓は70年代、電子イヤマフは80年代に開発されたようで、初めての耳栓から現代私達が見慣れた聴覚保護器具となるまでに100年ほどかかっていることがわかります。快適な防音を手に入れるのに世界中の人たちよる長年に渡っての苦労が垣間見えますね。
ノイズキャンセリングとか外音取り込みだとか、今後もまだまだ進歩しそうな分野に思えます。





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前置きはこれくらいにして本題のほうへ。

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右がZTACのSordin IPSCバージョン
左がMSA Sordin Supreme Pro (76302)
ネットでの着用例が多い黒地に金文字のPro-Xではなくて、一つ下のグレード。

ヘッドセットってタイトルに書いておいてなんですが、どちらもマイクのない電子イヤマフのバージョンになります。通信できないんだったらいらんわ!って思ったそこのあなたもまあ少し待ってください、全くできないわけではないので。



MSAは1914年に設立されたスウェーデンの企業で、軍事用というよりは人間や設備の安全のための製品を開発生産しているメーカーで、レスキュー向けのヘルメットやアイウェア、ガス検知器だったりラペリングハーネスだったり、かなり多種多様な装備品をリリースしています。
今回のSupremeイヤーマフにおいてもカタログ上の使用用途は狩猟・LE・SFだけでなく、消火・建築・ペイントボール(≒サバゲ)とされていて、幅広い用途へ視野を持った会社であることがわかりますね。
バリエーションは公式のカタログ(4ページ目)を参考に。
最上位のPro-Xとの違いはIP67等級ウォータープルーフマイクの有無。Proは防滴仕様です。
米尼でPro-Xが270ドルくらいでProは50ドルくらい安価のようです。

ZTAC(Z-Tactical)は中国広東省にあるelementの通信デバイス向けブランドらしい。公式HPのメールアドレスがelementairsoftになってました。



とりあえず先にヘッドバンドとネックバンドの違いから。

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こちらがおなじみヘッドバンドのバージョン。もちろん長さ調節が可能で本体部分をバンド内に押し上げることで比較的コンパクトに持ち運びができます。使わないときは首掛けや頭部に挟んだり、ベルトキットに吊るしたりもできるので使い勝手は良好。音楽用ヘッドフォンと同じように取り回せます。

配線とヘッドバンドフレームを隠すためのカバーを併用するため、アフターパーツでヘッドバンドカバーの色を変えることができます。
ZTACはマルチカム等迷彩柄のカバーが本体付属ですが、所有のものはZTAC純正オプションのレザーヘッドバンドに変えています。レザーなので汚れを拭き取りやすいのがメリット。COMTACでよく見られる黒いヘッドバンドのように薄くなるわけではないのでご注意を。



次にネックバンド。

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これはヘルメットと併用するために頭頂部をできるだけシンプルにしたバリエーションになります。
押さえつけるためのフレームを後頭部側に移動させ、ずり落ちてこないように頭頂部を非常に簡易的なベルクロバンドで抑える構造。BF3装備のために購入したもので、当時はレプはマイク付きヘッドセットだらけでしたから実店舗駆け回ってようやく入手できた覚えがあります。結構高かった。

現在ではZTACからLiberator2タイプとしてネックバンドバージョンが出ていますが、店頭で試着した感じMSA製のような快適な装着感ではなく、そもそも耳を覆えていなかったので設計ミスの粗悪品の印象を受けました。もっともお店の展示品ですから状態が悪化して変形していた可能性もありますし、ZTACはマイナーチェンジを細かく行っている印象ですから現行バージョンでは改善されているかもしれません。ヘッドバンド版は大丈夫ですがZTACネックバンド版を購入する際は試着させてもらってからが良いと思います。

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パーツ構成は本体・ポリエチレン製の上部バンド・後部クッションに分かれており、本体についている短いバンドと樹脂パーツは取れないようになっています。バンドを樹脂パーツに通してベルクロで止めるだけの本当に簡易な作り。折りたたみの機能もなく、ヘッドバンド版よりは持ち運びがややかさばり気味です。

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後部クッションはフレームと配線を通す場所が二箇所になるようベルクロが2つついており、上の写真ではフレームを止めるベルクロを閉じた状態。露出しているケーブルは上側のベルクロでまた隠す構造になっています。

やはりヘルメット併用のための設計だけあって、ヘッドバンド版では帽体内部でぎゅう詰めだったのがこちらではスムーズに脱着できますし、あご紐との干渉をクリアすれば着用中の異物感もあまりありません。後頭部にフレームがあるために現用ヘルメットのチンストラップやダイヤルロックフィットバンドでは使えないようにも思えますが一応着用可能です。
側面にレイルシステムがなく、ヘッドセットアダプタが使えないヘルメットを着用する場合はこちらを選択したいですね。折りたたみができなくてもヘルメットの中にしまっとけばかさばりも関係ないですし。


最近ではベースボールキャップやニット帽にネックバンド版を着用している海外のシューター達をよく見るので、片方へのこだわりや必要がなければどちらでも良いんじゃないでしょうか。
ヘッドギア構築のためのオシャレ面として見ると、ヘッドバンド版では頭頂部が伸びるので小顔効果を意識したりすると良いのではないでしょうか。コスプレ用であれば着用者である自分の顔に似合う方を選ぶべきだと思います。私は今の所使う装備に適合するのとSordinの形が好きというこだわりがあるので選んでいますが、そうでないならCOMTACやPeltor、OPSMENやら他メーカーも選択肢の一つです。



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MSAとZTACの外観での比較に入ります。
左側がMSA製、ZTACは元のシールを剥がして同梱されていたMSA柄の紙シールに張り替えています。
ちなみに剥がした部分にゲート跡を隠す凹みがあるのでパテ盛りしてから張り替えるとシールが凹まずに済みそう。

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正直なところ、外観では並べてみてやっとどっちかわかるというのが本音でZTACもよく再現していると思います。重箱の隅をつつくとすれば本体色が深緑寄りでツヤが強い点と、上下の曲線が縦に長いように見えるくらい。シールは違いますが電池の入れる順番の書かれているのは嬉しいですね。


左側スイッチ部のアップ。
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ほんとよくできてます。カラバリって言われても信じる。
どちらも電源のオンオフが真ん中のボタン、右側のボタンが(装着時後方)が外音の音量上げ、左側が下げ。
ZTACは4段階、MSAは6段階(取説では5段階)の音量調節が可能で、最低音量の時は装着していない時と同じ等倍での出力になります。外音取り込み的な。逆に上げれば周囲の音を最大4倍まで大きくして索敵に生かすことができますし、MSA製はこの状態でも聴覚障害のリスクレベルを超えることがないように最大82dB相当の再生音量に制限されているようです。すごい。
ちなみにSupreme Basicでは音量増幅機能がないらしい?
MSAの最低音量では室内環境、2段階目で屋外で自動車が行き交う環境で非着用時とほぼ同じ音量になります。イメージの把握に役立ててください。


ボタンの操作音はZTACがペーとかペッみたいな低い音で、音量調節の下限または上限から超えようとすると音が鳴りません。MSAはプー、プッという少し高い音ですが家電みたいな安っぽい音ではなく上品さを感じる操作音で、音量調整限界を超えようとすると操作音が鳴る設定です。




肝の外音を集音するためのマイク。左右共通です。

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多少異なった形状をしていますが概ね再現してると思います。細かく見ると枠の開口部がZTACのほうが広めにとられているくらいでしょうか、バリもZTACのほうが少ないです。
両者ともシリコン系の外枠と目の細かいスポンジ製のウインドスクリーンで風防が作られていますが、音量を上げていると少し風が強いだけで(自転車くらいの風速)で風切り音が入ってしまうのであまり性能がいい形状ではないのかもしれません。他社製を試したことがないのでなんとも言えませんが。
どちらも集音・再生はステレオ。再生の性質に関しては後述。





左側後部のAUX IN
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MSA(銀)は普通のステレオミニジャック、ZTAC(金)もジャックは同じですがこちらは雌ねじが切られていて付属品のネジ付きケーブルしか使用できません。なんでこんな独自規格なんだ…

3.5mmステレオミニのオスオスケーブルを用意すればどちらも音を聞くことができます。端末に繋いで音楽や通話を聞けるほか、ステレオミニということは無改造かつZTAC製品を使わず一般の市販品で特小無線につなぐことが可能です。icomであれば確か3.5mmの方がイヤホン出力だったはずなので特小から直で接続ができるというわけ。マイクはありませんが、高品質な市販品マイクをそのまま使用できるという点ではこれも大きなメリットではないでしょうか。ケーブルの数は増えますけど。

細かいところを見ていくとMSAは電源を入れないと再生されませんがちゃんとステレオ再生、ZTACは電源を入れずにも再生される一方で、ステレオで入力された音源をイヤマフ内部でモノラル化して左右の耳から再生される、という内部構造になっています。
ZTACは特小等のモノラル音源でステレオケーブルでも両耳から聞こえる構造ですが、独自規格ジャックのせいで市販品が使えません。本当なんなのこの独自規格
MSAにはモノラル音源向けのためかステレオモノラル変換ケーブルが同梱されています。

ここで改めて書いておきますが、外音の取り込みと再生はどちらもステレオなのでお間違えのないように。




電池キャップ

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MSAはおそらく脱落防止取り付け用の突起があり、内部スプリングがトルクスでネジ止めされています。滑り止めは綾目(クロスローレット)でMSAが正方形の3~4列、ZTACが潰れたひし形で2~3列。キャップ高さは少しZTACが高いですが電気的にもMSAと互換があり取り付け可能です。
Supreme Pro以上のグレードはバッテリーコンパートメントが防水仕様になっているためOリングが装着されていますがZTACにはありません。
その他外観での差異は本体の凹みの下部曲面のRとアーム取付軸まわりのパーティングライン、電池ボックスの素材くらいでしょうか。クローズアップしてやっとわかるくらいの再現度です。

MSAの取説ではアルカリ1.5V(単4・AAA・LR03)の使用が推奨されていて、ニカド・ニッケル1.2Vなどの充電式電池は製品の動作時間を大幅に短縮する可能性があるため使用しないでくださいと書かれていました。またスペックシート上ではSupreme Basicでは150h、Supreme Pro以上のグレードで600hのランタイムのようです。
実際購入当初の100円アルカリ電池を数年入れっぱなしでずっと使えていたのであまり電池交換のことは考えなくても大丈夫な気がします。執筆中の現在はeneloop proで試していて機能自体に問題はないですが連日の外出に使用する場合は変えたほうがいいかもしれません。アルカリは液漏れリスクがあるので個人的には一次電池ならマンガンを使いたいところですが。

ZTACも同じタイミングでeneloop proを充電したものを入れて同時使用していて、MSAより先に電源が入らなくなりました。MSAは未だに電池交換・充電無しで動いていますのでやはりレプリカだけに燃費が悪いのではないかと。



イヤーパッドを取り外して次に進みましょう。
側面にある突起の位置で色が別れている隙間へドライバーを押し込んでテコの要領で開くと外せます。
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内部へ。左がMSA、右がZTAC。
写真上が電池の入っている右側、下の写真がスイッチとAUXINのある左側。

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MSAがシンプルにまとめられている一方、ZTACはスピーカーが片方に2つあるなどゴチャゴチャした印象。
これが装着感の悪さにつながっていて、外からは同じに見えても中がぎゅう詰めのZTACは耳が収まる内部スペースがなく、すっぽり収まるというより耳の上に基盤が乗っかっているような感触です。イヤーパッドが肌に密着していないので遮音性も薄く、イヤーマフとしての聴覚保護機能はかなり薄いです。
一方でMSAは前方にオフセットされたスピーカー配置によってイヤーパッド内側と基盤の間に指が入れられるほどのスペースが確保されていて、耳全体がしっかりと入り込みますし、パッドが耳の周囲に密着するため装着感も遮音性もずっと上です。

イヤーパッドはどちらもフォームタイプ。基盤を保護しているメッシュクッションはMSAのほうがふかふかしています。MSAのパッド取付部のほうがやや小さいためZTACの本体に装着可能ですが逆は不可でした。もっとも基盤等の内部形状的に装着感が劇的に変わるわけでもないので変える必要はあまり感じませんが…

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上下から。どちらも下部に空気抜きの穴が開けられているので向きに困ったらここで判断しましょう。
MSAは上部に膨らみがありしっとりした表面仕上、内部のフォームは抵抗なく沈んでいくやわらかな感触。
ZTACはツルツルした表面と接触面には滑り止めのような加工がされています。フォームは低反発クッションのような弾力がありしっかり詰まっているようにも感じます。
MSAフォームパッドがスカスカなのが意外で気になるところですが、アイウェアをかけていてもあまり痛くならないので柔らかすぎるのが逆に汎用性を高めているのかもしれません。個人差もあるでしょうしパッド単体でMSA・ZTACのどれがいいのかは判断がつきにくいところですね。




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ここからは電子イヤマフとしての機能について。
(一部重複する内容があります)

一番の違いは間違いなく遮音性です。
騒音から聴覚を保護するためのアイテムなのに、ZTACでは装着感の悪さから密閉されてい
ないのでそもそもイヤーマフとしての機能がないと言って間違いありません。
わかりやすく例えるなら、貝殻やコップを耳に押し当てるとコオオオみたいな独特の音が聞こえてくると思います。(軽く調べたところ押し当てた物体内の容積に応じた音波が固有振動数として共鳴して聞こえてくるというものらしいですが) 非電子式のイヤマフや電源を切ったMSA製Supremeではこれと同じような音が装着時に聞こえてくるんですが、ZTACの場合は全く聞こえてきません。イヤーカップ内が密閉されて共鳴して聞こえてくるものが聞こえていないのであれば、密閉されていない(遮音性がない)ことの証明になります。
自分以外にも試してもらって同じ意見でしたので、自分の耳だけZTACと相性が悪いということはないはずです。



次にバッテリーの持ち時間です。
MSAの駆動時間は600hですから当然といえば当然ですが、ZTACでは電源が入らない電池でもMSAでは使えるということがありました。要はMSAは電力の低下したバッテリーでも使い続けられるということですね。レプリカや安価なドットサイトで言えば数日で電池を使い果たすのに対し、ノーベルアームズやAimpoint製は一年以上つけっぱなしでも電池が切れることはありません。日本で電池に困ることは滅多にないと思いますが、やはり電池の持ちは長いほうが信頼感がありますよね。

逆に言えば、遮音性が弱いZTACは電池切れや故障が起きてもそのまま聴覚を失わずに行動できるということにもなります。さすがに裸の状態よりは聞き取りにくくなりますが、電源が入っていなくても全く問題なく会話できますし、周囲の効果音も聞き取れます。
加えて電源が入っていなくてもAUXが再生されるし、スピーカーはおそらく集音側と別なことを考えると、集音装置の故障があってもサバゲーのコスプレグッズとして、無線のヘッドフォンとしては使用できる可能性が高い気もします。人によってはジャンク品でも全然問題ないかもしれません。
サバゲー装備のコスプレグッズとして必需品である一方でレプリカでもそれなりに高価ですしね。




次に騒音の減音。遮音性とは別です。
音量を上げた増幅モードのときだけに起こることですが、大きい音がしたときの騒音カット後にマイク感度が回復するのにZTACは数秒ほど時間がかかるため、立ちくらみが起きたときやFPSでスタングレネードをくらったときなどの聴覚低下したような挙動をすることがあります。
例えばホワイトノイズが再生される静かな環境下で手を叩くなどの一瞬大きな音がするとホワイトノイズが再生されなくなり、数秒かけてフェードインして元の音量に戻るといった具合です。
MSAでは一瞬で元の感度に戻るので違和感がほとんどなく、こういった環境でもストレスなく行動できるはずです。

逆に、騒音が続く環境では小さな音はほぼ再生されなくなります。
雨の日のテストでは傘に雨粒が当たる音がうるさいほど聞こえていたのに対し、同じ天候で発電機や大型車のアイドリング、工事現場に近寄った場合は雨粒の音は気にならない程度に感度が調節されていました。これは両者とも同じです。




次に集音の特性
MSAは高音を拾いやすく、ZTACは中音域が得意のようです。
室内の静かな環境では自分の呼吸音や服スレ音がめちゃめちゃに気になるMSAよりZTACの方が便利そうだなと感じましたが、物理的に遮音すると高音が聞き取りにくくなるため、高音が得意なMSAの方がなにもつけていない耳で聞いているような雰囲気で快適でした。低音量で長時間着用していると両耳が塞がっているのを本当に忘れるくらいです。
一方でZTACは人の声は聞き取りやすいのですが、高音が鳴りにくいので籠もったような場所にいるように感じます。ローパスフィルターを通したような音といえば伝わりやすいでしょうか。高音の聞き取りやすさはその場所の開け具合や環境音を感じる要素に直結しますので、ZTACのスピーカーで自然な聴覚が得られるとはかなり言い難いです。

ただ高音に弱いZTACですが遮音性がもともと低いので、サバゲー程度であれば普通に行動はできると思います。集音上げて音の位置から索敵したいとかは多分難しいですけど。




音の定位感
これも音量を上げたときの話になります。
車通りの多い道を歩く場合、どの方向にクルマが走っているかが目をつぶっていてもMSAでは判断することができますが、ZTACでは全く判断ができませんでした。車道は左側にあるのにエンジン音は身の回り全てから聞こえてくるといった感じで、音の定位感はほとんどないと言っても間違いではないと思います。
低音量の等倍出力ではさほど気になりませんでした。やはりZTACは音量を上げて使うというよりは半分塞がった聴覚を補うために弱い音量で再生してもらう程度の使い方が正しいように感じますね。

定位感の面でもMSAは信頼性がありますし、サバゲではなく聴覚保護を目的に作業する人は絶対にレプリカを使ってはいけませんね。身の回りでアクシデントが起きたけどレプヘッドセットを使っていたせいで音の位置(危険が発生した方向)がわからず事故に巻き込まれた、とか簡単に想像できますし。
こういったシチュエーションをベースに考えるならば信頼できないものは装着しないほうが安全でしょう。




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両者における差異はこんなところでしょうか。だいたい書いたと思います。
今回の比較で得られた結論としては

ヘッドセットはサバゲコスプレ目的ならレプリカで十分
聴覚保護が目的なら必ず実物・正規品を着用

に落ち着きます。
サバゲで数万するミリタリー仕様なヘッドセットを使う必要はありませんし、機能が保証できないレプリカを実務に使うわけにはいきませんよね。無線も特小かスマホでしか使わないですし。



ただ今回はあくまでSordinの実レプの間の話で、そもそも形やメーカーがなんでもいいのであればMSAやZTACにこだわる必要もないというのが本音。
最近は正規品の電子イヤマフも安く買えるようになってきているおかげで、ZTACの価格帯でありながら実物の機能を備えたものも入手できるのが現状です。あの装備を再現したい!このモデルじゃないとダメ!とかの明確な目的がなければレプリカを購入する理由にはならないってトコですね。そのお金で低価格でちゃんと信頼できるメーカーの電子イヤマフを買ったほうがずっと賢いです。


遮音性もMSAが最強というわけでもなく、他メーカーの電子イヤマフも何種類か試着してみてMSA製より静かな環境を得られるモデルがあるのも確認しています。中にはBluetoothでワイヤレスヘッドホンにもなるし、当然外音取り込み(集音)機能も盛り込んだ上でMSA Supremeより安いものもありますし。Bluetoothついてたら絶対便利でしょ。うらやましい。


聴覚保護だけで言えばイヤープラグ(耳栓)で十分な場合もあります。
例えばSUREFIREのソニックディフェンダーは電気不使用で85db以下は聞こえてそれ以上はカットする面白い製品で、イヤホン程度のサイズで小型なためイヤマフとの併用も可能。これで3000円もしないですから1万前後の電子イヤマフをいきなり買うよりはとっつきやすいですよね。
そもそもカナル型イヤホンをぶっ刺しておくだけでも問題ないまである。イヤマフくんの立場…





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こんなところですかね。
思ってたより中身というか聞こえ方に違いが見られて意外でした。
ドットサイトなんかは低価格向けでもパッと見一緒に見えるくらいのものが増えてますから、ヘッドセットも実物と大差ないんじゃないかという思い込みがあったのかもしれません。ZTACも中身のマイナーチェンジよくやってるみたいですし。ソースはないですけど。




たまたまやる気になったので久しぶりの更新になりましたがちゃんと書ききれてよかったです。
音の違いとか感覚的なものを文章化するのメッチャ難しくて新鮮でした。AV機器レビュアーすげえ。語彙力が全く足りないわ。

お読みいただきありがとうございました。





聴覚保護をしなかった場合のリスク、した場合の不自由によって発生するリスク。
人それぞれの耳の聞こえ方や、その人を取り囲む環境とその騒音レベル。

コレしとけばOK!そもそもしなくてOK!
それぞれ要素が違うのに言えるはずはありません。
まして私は聴覚の専門家でもないですからなおさらです。

本物とレプリカでこういう違いがあるけどサバゲでならレプリカで大丈夫だよ、形に拘らないなら正規品も試してみてね。というのが今回の伝えたいポイントです。

本格的に難聴が不安だとか、夜何かしらのでせいでうるさくて眠れないとか、そういった場合にアドバイスできるようなことは何もありません。サバゲーやるからついでに実務に使えないかな、みたいな考えであればいいですけど。
猟銃であれば銃砲店の店員に相談してみるとか、作業現場や工場の方であれば同僚と話し合ってみるとか、自分の体が不安だったら医師に聞いてみるとか、着用する前にクリアしておくべき障壁もあるはずですから、まず先にそちらをクリアしておくのをお忘れなく。


個人的には「セミの鳴き声が聞こえない、家電の警告音が聞こえない」という年配者の生の声を目の当たりにしているのでやはり聴覚は大事にしたいなあと思う一方で、老化による聴覚の低下はいくら耳を大事にしていても避けられないことですし、それはそれで爆音で音楽を聞くのも楽しいところではあるので難しいところだなあと思います。








あっそういえば自動車メーカーの方

車内警告音を家電みたいな音にするのは一日も早くやめてください。
一番聞こえてなきゃいけない年寄りたちの耳には聞こえてませんその音。

一方私達若者にはピーピーうるさいだけです。頭くる。



よろしくお願いしますよほんと。