こんばんは。

前回(→マルイM4 MWS 分解・内部メンテ時に気をつけること)に続き、MWSのトリガーまわりに絞った記事です。(前回のを先に読んでおくと作業しやすいです)
※MWS以外のGBB全般のメモはこっち(→GBBの内部についてのメモ書き)



トリガーが戻らないとかフルオートになるとかパーツ組んだらダメになったとか、トラブルシューティングの量が多いので分けました。
用意したネタは純正トリガーにありがちなトリガープルのざらつき取り、2段引きの途中で止めると内部シアが戻ってこない点の改善など。自分も困ってただけにちゃんとわかりやすい手引書作っときたかったんですよね。



MWS純正トリガーは引き切りだけは2ステとも言われます。上記のトラブル追求してる中で2ステージトリガーらしいウォールを作る加工方法も見えてきたので、今回まとめて公開することにしました。以前にも書いたようにMWSのトリガーメカは純正でも加工次第で性質を変えられるポテンシャルのあるものだと考えているので、MWSで行える様々なトリガープルが将来見れたらなと思ってます。
これ読んでトリガー修理する人の後押しになったり、トリガーセッティング詰める人が一人でも増えてくれたら嬉しい。





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文字数多いのでパーツ名称を少し略したりして書いてる場合があります。
ディスコネクター→ディスコネ
セミオートシア→シア
フルオートシア→オートシア
トリガースプリング→トリガーSP
とかで。書かれてないのは雰囲気で察してください。




■やること

トリガーボックスを取り出して開く
内部パーツの抵抗抜き (バリ取り・紙やすりで表面磨く)
スプリングを伸ばす・入れ替える・新品交換する
古いグリスを拭き取って再グリスする

正直これだけ。
電動ガンで言えばメカボを開けて汚いグリス拭き取ってシム調整してスプリング交換して再グリスしますよね、あれと同じようなもんです。大きな加工はないし電動メカボよりは何倍も開け閉めしやすいトリガーボックスなので難しく考えなくても大丈夫。


社外製カスタムパーツを複数組み込んでいる場合は、メーカーごとの寸法誤差が複合的な要因になり作動不良が出ることもあります。(今回の場合はトリガーとセレクターを両方違うメーカーに変えた場合に悪化した)
困ったときは純正パーツに戻して一つ一つ原因を調べていくのも大切。



・トリガーが戻らない

このパターンがよく起こりがちなので先に書いておきます。
原因を言語化すると、トリガースプリングがヘタる・グリスが汚れて抵抗になる・内部パーツが変形したなどでトリガーがディスコネクターを押し戻して下のポジションに戻る力がなくなった結果トリガーが戻らなくなる、という場合が多いです。


・セミオートがフルオートやバイナリトリガーになる
ディスコネがハンマーに"しっかりと"噛み合っておらず、ハンマーがシアに掛かる前にボルトがオートシアを押すとハンマーが落ちる。

"しっかりと"というのが重要で、噛み込みが甘いとトリガーを引いててもブローバックの衝撃で外れてしまったり、トリガーを戻す際シアにちゃんとかかる前に外れたりします。
ディスコネSPのヘタり、ディスコネがハンマーに入り込む時間、トリガーの軸が複数パーツになっているために出るロール方向へのガタやバリによる抵抗、ディスコネとセレクターが当たる箇所の寸法差などが原因な気がします。





■原因はわかったけど具体的にどうすんの、という話になりますが
MWSのトリガーメカは比較的複雑なので「これ一つやれば100%改善します!」という方法はなく、分解した上で清掃だのヤスリがけだのスプリング交換したりする必要があります。原因が1つとは限らないので色々やる必要があり、どこまで作業すれば改善するのかはその個体によるということですね。実際に自分の弄ってても組み上げてみないとわからんもん。
順を追って説明します。




■スプリングのメンテナンス

SP交換が一番楽で理解しやすいのでこちらから。
トリガー周りのトラブルで関係しているのは4本の押しバネです。
どれもよく似ているのでわかりにくいですが、見分け方を用意しました。(あまりにも似てるので間違ってるかもしれません)

比較的細くて長い → トリガーSP
トリガーSPより太くて3本あるうちで1本だけ短い → ディスコネSP
トリガーSPより太くて全く同じものが2本ある → セミオートSP・フルオートシアSP

photo-output
右下の数値はt新品での数値(多分)

これは先日分解したもの。どれも線径は0.3mm。
トリガーSPがややヘタって11mm程度に縮んでいたのでこれを指で弱く引っ張って自然長を伸ばしてやります。正直あんまり体感できる差はないんですが、10年くらい前にバラしたときの違う個体だと13mmはあったのでそれを目安に。

伸ばしたものがこちら

photo-output

シア用より短かったトリガー用が伸びてシア用より長くなりました。
トリガーが戻らない場合はこのトリガーSPを伸ばす作業が効果ある───はず。

セミがフルになる場合は、ディスコネSPとフルオートシアSPを入れ替えます。
両者の太さは同じなので、力が必要なディスコネ側に長い方を入れてやればハンマーにしっかり噛み込みやすくなるはず。フルオートシアSPはボルトが閉鎖したときに圧縮されるだけなのでそこまで力が必要ないので短いのでOK。セミオートシアに短いのを組み込むと、ディスコネクターが解除されてもシアが戻るのがギリギリのタイミングで遅くなってしまう場合があるのであまりおすすめしません。


また、大きく変形した場合は素直に交換しましょう。スプリングセットが売ってない場合はボールペンのスプリングを切って入れても最悪代用できます。







■抵抗抜き
要はヤスリがけ。

最低必要な箇所は
・トリガーボックスの内側
・トリガーとトリガーBが接する面
・ディスコネクター全面
・セミオートシア・フルオートシアの側面
・これら指定した面の角の面取り

このあたりはトリガー周りのスプリングの抵抗になるので正常な作動に必須。後述するトリガープルにも影響がないともいえないので、最初のステップと思ってヤスリがけしましょう。ハンマー・ノッカーはあまり関係ないのとほとんどメッキされてる個体が多いので何もしなくても大丈夫。

ざざっとやるには適当な細目の棒ヤスリでバリ取り・面取りし、800か1000番あたりの紙ヤスリで仕上げるだけでも十分かなと。詳しい方は自己流で。
全部作業したあとはそれぞれのパーツについた削りカスを丁寧に拭き取りグリス塗ります。全体をグリスでコーティングするようなイメージで、面倒ならシリコンスプレーでもいいです。軸に塗るのも忘れずに。




重要な順に詳しく書きますと
・ディスコネクター
上部の引っ掛けるアーム、三途の川がある青森県下北半島みたいな突起部分の左側面を気持ち大きめに面取り・平面出しします。ここは変形または社外トリガーの寸法差により、ディスコネがハンマーのある左側に寄ってしまい動きが渋くなる場合があるためです。厚みもあり、少し削った程度なら問題ないことが多いので多少やりすぎても安心。
ただし、ハンマーと噛み合う部分は繊細でヘタに削ると正しく動かなくなる可能性があるのでこちらはなるべく手をつけないようにしましょう。手のひらと指先にあたる部分です。

・セミ・フルオートシア
ボックス開けたときに見えている面はいいんですが裏側はかなりザラついた個体が多いです。一時期はメッキされていたパーツだった記憶ですが、今は亜鉛打ちっぱなしなのでバリも比較的大きめ。ここがなめらかになっていないとトリガーの戻りやフルオート化に影響が出るので念入りにヤスります。

・トリガーボックス内側
シンプルですが結構大切です。ハンマーを取らないまま見えてる範囲を紙ヤスリで少し擦るだけなので簡単。拭き取ったあとで滑らかさの違いがわかりやすいパーツかも。

・トリガーとトリガーBが接する面
ボックスを取り外す際にピンポンチでトリガーを叩いて外した個体だと変形しがち。バリになってる場合もあるのでちゃんと面取りしてあげて下さい。







このあたりまで作業して正しく組み直せば大体のトリガートラブルは解決してるんじゃないかなと思います。内部パーツが純正なら多分。
先述しましたが社外パーツが入ってるとメーカーごとの設計寸法・パーツ加工精度に差があるので、パーツAを組んでるときは大丈夫だったのにパーツBを組み込んだら動かなくなったという場合もありますのであんまり純正から変えないほうが楽です。








社外品2種類組んで動かなくなったときの話で、セレクターの話しておきます。

下の画像は今回の作動不良とはあまり関係なかったんですが、パッと見では同じに見える形状でもカスタムパーツは寸法が違うよってことがわかりやすかったので。画像作っちゃった後だったし。

セレクターがセミオートポジションのとき下面に来る切り欠きで、軸の端っこからフルオートポジションに入る切り欠きまでの寸法が異なってます。この場合だとフルオートでのトリガーの可動範囲が違ってくるかもしれないのが予想できますね。

photo-output



今回のトラブルでは、軸穴が広くガタの大きいトリガーとこのセーフティを組み込んだ最にディスコネクターがうまく働かず、フルオートになったりトリガーが戻らなくなったりしました。
ディスコネクターはトリガー・ハンマー・セーフティと複数のパーツと接触するので判断が難しいんですよね。原因は上画像で示している寸法の横方向にありました。


photo-output

セミオートポジで銃を前から見たときの図で、トリガーとディスコネが入り込む部分です。
赤で示してあるディスコネクターが入り込む箇所が純正より社外品が狭くなっており、組み込むとこの段差の分だけディスコネが上がりきれず噛み込み不足による不調を起こしました。これはここを広くなるように削ったり、ディスコネクター側の尻尾部分を面取りすることで解決。

こんな具合で社外品を複数使用すると動かなくなることがあるのでショップの商品ページに「調整が必要です」って書いてあるわけです。慣れていない方はお気をつけを。
ちなみに今回使ったトリガーは設計カスすぎて軸はガタガタ組み込めばトリガー1mmも動かなくなるとかいうアルティメットウルトラクソッタレパーツでした。しかも元々の形状も実物と違うし。あとで出てくる。







トリガー不良は解決したという体で次。


■トリガープルのための抵抗抜き

ここから先は不良を良くするというよりは、ちゃんと動くトリガーをよりスムーズにする加工内容です。やること自体はあんま変わんないですし、やっても大きくは変わんないですけど。清掃のほうが大事な気がする。

トリガーまわりは上の方で作業されてると思うので、トリガーの先から順番に。
まずトリガーバーとボックスのすり合わせ位置。

IMG_8134

先にヤスリがけしちゃうとわかりにくいんですよねここ。赤丸の部位に力がかかりやすいのでペーパーとかで滑らかにします。他の部位もやりたくなりますが、力かかるのはここくらいなのでほかはあんまりやらなくても良さそうです。
次。

IMG_8131

トリガーバーからセミオートシアにかかる部分、赤丸の箇所。ここは荒れてることそんなにないのでやらなくてもいいかな。ほぼ変わりません。
黄色で囲ったところがハンマーと接する次の部分。

IMG_8658

引き続きセミオートシア。
左が無加工のまま取り出した状態、右が研磨後。

MWSの2段引きトリガーの原因は主にここにあります。
黄色でかかった箇所の一番上、長い一本の線があるのがわかるかと。傷というか凹みというか、この程度のほんの僅かな段差にハンマーが引っかかり、トリガーを途中まで引いてから戻すとセミオートシアが戻ってこないという変な感触になるというわけ。
こんな具合でハンマーとつながっています。

IMG_8590

ここまで作業すれば、途中で引っかかるような感じのないリリースまでスーッと引いていけるなめらかなトリガーになっているはずです。内部のセミオートシアが戻ってこないこともなく、途中でトリガーを戻しても毎回同じ重さのトリガープルに生まれ変わります。








トリガーが戻らないことやフルオート化現象も克服し、スムースなトリガープルを得られた。
無事にMWSのトリガー修理は完了。
めでたしめでたし。








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───とはいきませんでした。


セミオートシア研磨しただけでトリガーのウォールなくなってるのおかしくね?いやおかしくはないけど。
どこでブレイクしてハンマー落ちるかわかんねーんけど?VSRのトリガーかなんか?
スムーズも大事だけどもっとパキパキしたトリガーが欲しかったんじゃないのか???
引き切り"だけは"無加工のほうが気持ちよくなかったか???

そう、あることに気づいたのです。










MWS純正トリガーで2ステージ、できるかもしれねェ───











長くなったんでやっぱ2ステ加工は次回にします。もうちょっと待って。
(追記:できました→マルイMWS純正トリガーボックスを2ステージに加工する)